県内3例目の裁判員裁判、初の実刑判決

山口県内3例目となる裁判員裁判で、強盗致傷の罪に問われた住所不定無職の南野克己被告(61)に、山口地裁は28日、懲役5年6月の実刑判決を言い渡した。同制度のもとで実刑判決が出たのは県内で初めて。

判決によると、南野被告は昨年8月2日午前11時45分ごろ、宇部市南小串の山口大学付属病院で、入院中の男性患者(当時69歳)所有の現金5万7930円などが入った財布などを病室で盗み、呼び止めた男性の顔を殴り、床に頭を打ち付けるなどの暴行を加えた。
検察側は懲役8年、弁護側は懲役2年6月を求めていた。向野剛裁判長は、検察側主張の強盗致傷罪の成立を認めた上で、弁護側が求めた酌量をした判決になった。
弁護側は、被害者のけがが軽微で致傷はなく、強盗罪しか成立しないと主張したが「健康状態に不良の変更を加えた以上、強盗致傷罪による負傷」と退け、「自分が被害者なら金を渡す旨を述べるなど、反省が疑わしく再犯の可能性を否定できない」と指摘した。
酌量の理由を「被害者のけがが軽微で現金が戻り、当初から強盗目的ではない。自業自得だが頼るすべもない」とした。
判決後、向野裁判長は南野被告に「これまで社会に背を向けていたが、残りの人生をあきらめないで」と諭した。

「出所後の社会復帰にフォロー必要」裁判員が感想

判決言い渡し後、同地裁で開かれた裁判員の会見には、補充裁判員を含む9人のうち、7人が出席した。検察官、弁護士、裁判官の説明は「分かりやすかった」と振り返った。
被告は何度も刑務所を出るたびに犯罪を繰り返していた。今回も出所後すぐの犯行。「刑務所を出た後のフォローがもう少しあれば」「社会の受け入れ態勢が十二分でない」との声が出た。
被告人質問で「刑務所に戻りたいのか」と問った50歳代の女性は「何度も罪を重ねて償うことが彼にどんな変化を与えたか分からず聞いた」と話した。
今後の被告には「これからどうして生きるかを指導してもらって二度と繰り返さないように出て来て」「人生を投げず前向きに生きて」「弁護士のフォロー受けながらがんばって」と期待を込める。
公判で難解な法律用語が並んだが、複数が「裁判官が丁寧に教えてくれて何度も確認してくれた」と話す。
「近寄りがたいイメージがなくなった」(20歳代女性)「ここまで被告人のことを考えて討論するとは予想しなかった」(40歳代男性)「裁判所は国民のためにある」(50歳代女性)と話した。

カテゴリー:事件・事故2010年1月29日

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