宇部発787型機が緊急着陸
16日午前8時25分ごろ、山口宇部空港発、東京・羽田空港行きのボーイング787型機全日空692便(乗客129人、乗務員8人)から「コックピットから煙が出た」と連絡があり、香川県高松市の高松空港に午前8時47分、緊急着陸した。香川県警によると、同機は当時、愛媛県四国中央市上空を飛行中で、乗客数人が脱出中に軽傷を負った。このうち68歳の男性は腰を打ち、救急搬送されたという。
全日空によると「バッテリー関係の不具合」との表示が出た。同機は山口宇部を予定より10分遅れて8時10分ごろ離陸、9時25分に羽田に到着する予定だった。乗客乗員全員が脱出用のスロープを使い、機外に避難した。乗客らは到着ロビーで待機しているという。
この便に搭乗していた河村建夫衆院議員の長男で秘書の建一さん(36)=大沢西後=は宇部日報社の取材に対し「事故当時、機内で焦げ臭いにおいがしていた。避難時は混乱はなかったが、脱出シューターは急傾斜で怖かった。この時、すり傷を負った乗客もいたようだ。高松空港では警察の聴取を受けている」と話した。
同機は15日、羽田からの最終便として、山口宇部にほぼ定刻通り午後9時に到着。到着後や出発前の整備では問題はなかったという。
県山口宇部空港事務所には、16日午前9時ごろ、一般市民から「787型機が高松空港に下りたらしいが、何かあったのか」と問い合わせがあり、緊急着陸について初めて知ったという。同事務所と全日空山口宇部空港所には、搭乗客の家族から「無事なのか」という問い合わせが複数入っている。
全日空は、16日に予定していた787型機(国際国内便計68便)の運航を中止することを決定した。代替機を充てるかどうか検討しているという。日本航空も同様に、同日中の787型機(国際便5便)の運航中止を決めた。
同事務所によると、欠航となった午前10時20分羽田発予定の同型機の全日空693便には150人、山口宇部からの折り返し便の696便には120人が搭乗予定だった。欠航に伴い、山口宇部空港の出発カウンターは、乗り換えやキャンセルの手続きなどをする人で列ができた。
山口宇部―羽田線に787型機が就航したのは昨年1月。同事務所によると、これまで計7回、欠航している。
米航空機大手ボーイングは15日、今回の緊急着陸を受け「全日空の787型機が高松空港に緊急着陸した事実を把握している。ボーイングの顧客、監督当局と連携し、問題に対応する」との声明を出した。