被災者から生の声続々、山陽小野田市の7月水害

数多くの課題が指摘された市議会主催の被災地区別懇談会(川上会館で) 山陽小野田市議会の豪雨災害対策調査特別委員会が主催する被災地区別懇談会が市内各所で開かれている。ボランティアの活躍に感謝する声が聞かれる一方で、地域によっては避難勧告・指示や被災後の弁当配布などの情報提供が不徹底なところがあったとの指摘も。「死傷者がなかった」と手放しで喜ぶことはできず、多くの課題が浮き彫りになっている。

橋げたが折れた厚狭新橋 7月15日の豪雨災害の被災者を対象に支援ニーズを聞くとともに、対策が十分であったか検証しようと、23日から31日まで7会場で14回開かれている。深刻な被害に遭った人たちが、災害時の様子や被災後の行政の対応などについて本音を吐露している。
昨年の豪雨災害の教訓を生かして策定された避難勧告・指示マニュアルに沿い、市が迅速に危険の周知を図ったことや大勢のボランティアが頼もしかったとの評価はあるものの、厳しい意見も相次いでいる。

避難場所周辺が水没、たどりつけない

市が指定する災害避難場所については「そこに行くまでに危険個所がありたどりつけない」の指摘。実際、避難場所に指定されている市保健センターにアクセスする旧国道2号や1丁田の市道は冠水常習道路。市文化会館も洪水のたびに周囲が水没し〝孤島〟のような状況だ。
厚狭地区の被災者の一部は「本当に危ない時は文化会館ではなくJR厚狭駅の新幹線口に避難しようと自治会内で決めている」と話す。

ハザードマップで想定外の地域まで水没

避難勧告・指示すら出なかった地域もある。市が昨年3月、策定した厚狭川洪水ハザードマップでは、2日間で322mm以上の雨が降った場合、水につかる可能性があるエリアを表示しているが、上流域の松ケ瀬、貞末など川上地区は想定外になっていた。しかし、上流の美祢市域で累積雨量600mm近くを記録し、この地域でも厚狭川がはんらん。国道316号は冠水し、JR美祢線の盛り土が250mにわたって流出するほどの水が出た。

1階軒下まで水没、情報不足で地元住民が孤立

松ケ瀬の低い所に位置する家では1階の軒下まで水没し、2階に避難した家族が窓から手を振って救助を求めても、自然に水が引くまでなすすべがなかった。この地域の消防団員はいち早く市消防本部から招集がかかり、下流域の浸水家屋で作業に従事していたが、情報不足で自分の地域の防災に当たることができなかった。

コンクリート製橋げたも折れた

こうしたケースは厚狭地区でもあった。1952年に架けられたコンクリート製の厚狭新橋は、右岸側の橋脚の基礎部分が濁流で洗われ沈下した弾みで15日午前10時ごろ橋げたが折れた。水位が上がったため7時15分から通行止めにしていたが、原因がいつ落ちてもおかしくないものだっただけに最悪の事態も考えられた。厚狭小、厚狭高が近くにあり通学路として使われ、当日は休校の知らせがうまく伝達されず登校していた児童もいた。

「弁当支給知らされず…」情報少なかった被災者

被災者からはこのほか「『きょうが最後の弁当支給の日』と言われたが、それまで支給されていることすら知らされていなかった」「災害ごみの搬出をストップするのが早過ぎる。すぐには片付けられない」「断水したが水の給水個所が遠過ぎる」「避難を呼び掛ける広報車の声が聞き取れない」の訴えが。
今後の対策について「流木などがはんらんを招く要因の一つになっている。水位が上がりそうなところまで川土手の樹木や草は刈っておく必要がある」「厚狭川上流域の量水計の数を増やし水位情報を頻繁に流して」「サイレンで危険を知らせて」などの声が聞かれた。
市は30日に今回の豪雨災害の総括会議を開き、対策見直しなどを協議する。

カテゴリー:事件・事故2010年8月27日

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