「老健ふなき」防火管理者7人が安心・安全に取り組み

防災監視盤の点検に目を光らせる防火管理者(老健ふなきで) 医療法人扶老会(土屋直隆理事長)が運営している宇部市船木の介護老人保健施設「老健ふなき」(定員八十人、デイケア二十人)と「グループホームふなき」(二棟計十八人)には、本来は一人いればよい甲種防火管理者の有資格者が、女性二人を含めて七人もいる。三月に北海道札幌市の認知症高齢者向けグループホームで七人が死亡した火災は記憶に新しいが「利用者の安心・安全を可能な限り確保していこう」という職場ぐるみの取り組みだ。

消防法では、一定規模以上の建物の所有者や管理者は、防火管理業務の推進役としての防火管理者を選任し、消防計画の作成や防火管理上必要な業務を行わせることが定められている。
甲種防火管理者は、ホテルや病院など不特定多数の人が出入りする建物(特定防火対象物)と、収容人数や延べ床面積が比較的大きな防火対象物の防火管理者となれる資格。
自力で避難することが困難な人が入所する社会福祉施設(収容人数十人以上)も該当する。
全国各地で発生した高齢者福祉施設の火災を踏まえ、老健ふなきでは「災害に弱いところほど、きちんと防火・防災を学ぶべき」と、五年ほど前から資格を取ろうという機運が生まれた。希望者には受講料や交通費を法人で負担。はしご車やポンプ車を動員して本格的な消防訓練を実施したことも、職員の危機管理能力を高める契機になったという。
介護福祉士の縄田篤志さんは「資格を取ってから火災や事故のニュースに敏感になり、自然に情報を収集するようになった。点検結果を年二回まとめて報告し、職場で連携を取りながら改善につなげている。独自に職員へのアンケート調査も実施した」と話す。
グループホームふなきの介護福祉士、野村典子さんは「講習に行って、知らなかったことをたくさん理解できた。施設は電気設備ばかりなので、直接火を扱うことはないが、コンセントのほこりなどは小まめにチェックしている」と言う。資格の取得は日常の心構えそのものにつながっている。
老健ふなきの入所者は半数以上が車いすを利用し、自力では避難が困難な人がほとんど。年二回以上実施する訓練も避難を中心としたもので、小さな固定いすに人を座らせたまま移動させたり、毛布に人を包んで階段を降ろしたりと、身近な物を避難器具に転用させながら創意工夫を重ねている。
石丸恭助事務長は「知識を持って防火管理をするのと、持たないでするのとでは全然違う。火事を起こしてからの大変さを考えれば、出す前の火元の点検はずっと楽。防火に力を入れだしてから、緊急連絡網に対する職員の家族の協力も出てきた」と手応えを感じている。
市消防本部予防課は「施設内に甲種防火管理者が複数いることは、視野が広がり、日常の防火管理が充足する。職場で協力し合える雰囲気も生まれる」と取り組みを評価している。

カテゴリー:その他の話題2010年4月8日

写真注文はこちら
無料試読キャンペーン
宇部日報購読案内
サンデージョブ
サンデーうべ
サンデーワイド
サンデートレンド
Sundayうべ・おのだ
Sunday西京
サンデーネットワーク
全国郷土紙連合
新聞協会
選挙権を持つ君へ
アーカイブ
single