東日本大震災、子供たちの長期支援を

山口大医学部6年の阿部有紗さん(26)は、先月30日から7日まで東日本大震災で被災した宮城県に入り、がれきの撤去や避難所の子供たちの支援に当たった。

小児科医を目指す阿部さんは、特に親や友達を失った子供たちの今後が気に掛かる。「被災して1カ月。新学期を前に一緒に励まし合った仲間が、他市へ移るなど道が分かれ始めている。つらさを本当に実感するのはこれから。長期的な支援が求められる」と話す。
阿部さんは、アフリカ・スーダンで医療活動を行っているNPO法人「ロシナンテス」(事務局・福岡県北九州市)に所属。被災直後から避難所の巡回診療を行っている理事長の川原尚行医師の一行に加わり、岩沼市の寺に寝泊まりしながら活動した。
支援したのは同県南部の沿岸に位置する名取市(人口7万3502人、2月末現在)と岩沼市(同4万4128人、同)。両市とも津波で壊滅的な被害を受け、14日現在、両市合わせて死者1041人、行方不明者1015人。特に名取市は直後に9888人が37カ所の避難所に身を寄せた。行政機能が失われ、避難所ごとに配給や炊き出しなどの自治運営が行われた。
阿部さんは岩沼市ではがれきの撤去に当たった。自治会長の指示で全壊家屋から思い出の品を回収したり、損壊した家屋からヘドロを取り除いて床を磨き、夜、眠れる状態にした。
名取市では避難所の二つの小学校で子供たちの話し相手になったり、音楽ライブやスポーツ大会を子供たちと一緒に企画して楽しませたりした。
保護者は早朝から夜遅くまで片付けや仕事に追われ、昼間、子供たちは取り残された。余震におびえながらも笑顔で励まし合っていたという。「どの子も身内や友達を亡くし、大切なおもちゃや学用品を失っていた。被災者という一体感でつながり、落ち込んでいるわけにはいかないという雰囲気があった」と阿部さん。
しかし滞在期間後半には、自宅に戻ったり他市へ移ったりと散り散りになり始め、不安な表情を浮かべる子もいたという。
「本当に支えが必要になるのはこれから」と力を込める。子供たちの心のケアや、保護者や先生を支援する仕組みが求められると話す。
活動を通じて感じたのは、国が示す復興プランと被災者の求めるものとはギャップがあること。例えば、世帯ごとに一時金の支給が示されたが、地域全体の復興に充てることを求める地区もあった。「行政機能が失われた所では、被災者のニーズを細かく聞き取り、整理し、政策に反映させる橋渡し役のボランティアも必要」と提案する。
「月日とともに記憶が薄れてはいけない。何ができるかを考え続けることをやめないで」と訴える。
阿部さんは今後、県内の大学や行政機関で活動を報告。連携して支援を展開したいとしている。

カテゴリー:その他の話題2011年4月14日

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