緊急通報装置、急病などの非常時に心強い味方

一人暮らしの高齢者に安心感を与える緊急通報装置 急病などの非常時にワンタッチで救急車を呼べる緊急通報装置。六十五歳以上の一人暮らしの高齢者を対象に、宇部市が一九九〇年度から設置を始め、今年で二十年を迎えた。昨年度新設した百五十八台を含めた普及台数は千六百三十一台。万が一に備えて大きな安心感を与える一方、本来の目的から外れた「誤報」の多さが課題となっている。

同装置は電話回線を利用して家と市消防本部を直結させ、救急通報ができる。本体と首にぶら下げるペンダントのセットで、一般的に本体は電話機やベッド脇に据え付け、ペンダントは台所や庭仕事の時なども常時、身に着けておく。
事業開始時は、対象を心疾患や脳疾患などの患者に限定。設置台数は初年度が百二台だった。二〇〇〇年度から、介護保険制度に合わせて条件を撤廃。民生児童委員が福祉台帳の作成で該当者の家を回る際、希望の有無を尋ね、市が調査した上で取り付けている。
普及台数はピーク時の〇五年度には千八百六十八台に上った。しかし、予算の縮小もあって、この五年間の新設台数は年々減り、該当世帯に対する設置割合も26・9%まで低下した。施設入所や家族との同居で不要になった装置を回収・再利用し、どうにかやり繰りしている状況だ。
設置時の自己負担は前年の所得税課税年額によって決まり、最高は約五万二千円だが、九割方は無料。ただし、二年に一度の保守点検で、電池代など数千円から一万円程度が必要になる。
この装置が〝お守り代わり〟となり「急病時の不安がなくなった」との声は多く、実際に歩行困難な人から「いち早く救急車を呼べた」と喜ばれる事例もあった。本体には市社会福祉協議会につながる「相談」ボタンもあり、孤独感や寂しさの軽減に役立っている。
簡単に消防本部などにつながり便利な半面、誤報も目立つ。昨年度は約千二百件の通報のうち、ほぼ半数が押し間違いや認知症の人などによる誤報だった。本体のコンセントが抜けたり、受信機の電池が切れたりしたのは約三割。救急車が出動し、搬送に至ったのは百三十二件で、約一割だった。出動したが搬送不要のケースも五十八件あった。今年の四月も通報八十八件のうち、誤報が五十件と過半数で、救急は八件にとどまった。
市民生児童委員協議会の山本國博会長は「緊急時に頼りになる心強い装置で『付けて良かった』『助かる』との声が主流。これからも関係機関と連携しながら、普及を進めていきたい」と話す。
誤報が増えると消防の業務に支障を来す恐れがあるため、市高齢福祉課では「適正利用をお願いしたい」と呼び掛ける。限られた予算の中で、リスクや必要性の高い人を優先しながら、設置を進めていく考えだ。

カテゴリー:その他の話題2010年5月19日

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