アサリ稚貝、県内の海に放流し資源回復へ

県水産研究センター内海研究部(山口市秋穂二島)は12日から秋穂西にある遊休クルマエビ養殖池で養殖していたアサリの稚貝の掘り上げを始めた。今月いっぱいかけて約16㌧(約500万個)を陸揚げする予定で、県漁協23支店が持ち帰り、地元の干潟に放流して資源回復を図る。

農林水産省の「新たな農林水産政策を推進する実用技術開発事業」(2011~13年度、総事業費約7000万円)として実施しているアサリ資源回復の取り組み。
県内では瀬戸内海側の干潟を中心にアサリが取れ、ピーク期の1980年代前半には約8000㌧の水揚げ量があった。宇部市や山陽小野田市沖では珍しい潜水器具によるアサリ漁が行われていた。しかし、乱獲や地球温暖化に伴う海水温の上昇で、本来は南の海域にいるナルトビエイが回遊し食害が深刻になるなどして激減。最近の水揚げ量は年間約10㌧と壊滅に近い状態になっている。
このため、内海研究部や水産大学校など民間を含む県内外の4研究機関がタイアップし、空いているクルマエビ養殖池を利用して自然界にアサリの稚貝を放流するための養殖技術を開発してきた。
約5000平方㍍の池に配合肥料を投入し植物プランクトンを発生させ、これをアサリの餌にして育てる。初年度はアオサが大量発生して失敗。種苗生産、配合肥料や養殖管理を工夫し、2年目は6㌧の稚貝を掘り上げた。
3年目の今回は、昨年3月に体長わずか2㍉の人工種苗約600万個を池に入れた。順調に生育し、自然界より早く11カ月で体長25㍉にまで成長させることに成功した。
12日から始まった掘り上げには宇部市の県漁協藤曲浦支店が協力し、噴射式アサリ回収機を使って池底に高圧水を当てて砂の中から稚貝を掘り出した。県漁協各支店に無料で配布され、地元の海に放流してもらう。宇部市内では藤曲浦支店が800㌔、東岐波支店が150㌔を今月中に放流する。食害対策として網目8㍉のネットを上から掛けて保護する。
内海研究部栽培増殖グループの岸岡正伸班長は「稚貝にまで成長させる技術は確立された。さらに市場に流通させる32㍉以上の成貝にするまでの効率的な技術向上を図っていきたい。養殖技術は各支店に移転していき、最終的には放流した貝が次の世代を産むまでの資源回復を望みたい」と話した。
国内では兵庫県が、カキいかだに籠に入れたアサリをぶら下げて育てる垂下式養殖を確立している。池での養殖は、外敵の侵入が防げることや餌の管理などの面から成長をコントロールしやすいメリットがある。

カテゴリー:その他の話題2014年3月13日

写真注文はこちら
無料試読キャンペーン
宇部日報購読案内
サンデージョブ
サンデーうべ
サンデーワイド
サンデートレンド
Sundayうべ・おのだ
Sunday西京
サンデーネットワーク
全国郷土紙連合
新聞協会
選挙権を持つ君へ
アーカイブ
single