赤間硯の日枝さん、県文化財保持者に

県文化財保護審議会(会長・田中誠二毛利博物館長)は9日、県教育委員会から諮問を受けていた県指定無形文化財の工芸技術保持者に赤間硯(すずり)の日枝敏夫さん(71)=宇部市西万倉岩滝=、萩焼の大和祐二さん(71)=山口市宮野上=と新庄貞嗣さん(67)=長門市深川湯本=の追加認定を妥当とする答申案をまとめた。

県指定無形文化財の保持者は現在、芸能1人、工芸技術6人(萩焼5人、赤間硯1人)の計7人おり、10人になる。宇部市内からの無形文化財保持者の誕生は初めて。山口市内では現在、芸能の鷺流狂言と工芸技術の萩焼で各1人が認定されており3人になる。8月の県教委での決定を経て、9月の県報による告示をもって正式認定される。

日枝さんの雅号は玉峯(ぎょくほう)。約800年の歴史を持ち、国の伝統工芸品に指定されている赤間硯の、採石から加工、研磨、仕上げまで全工程を一人でこなす。「誰が見ても美しい形」を追求。滑らかな陸(墨をする部分)、従来の常識を覆した横長の姿など、新たな硯の造形世界を切り開いたとして高い評価を得ている。県文化功労賞、県選奨受賞。日本伝統工芸展の鑑査委員も務めた。

赤間硯は赤みを帯びた紫色の硯で、原石は赤色頁岩(せきしょくけつがん)。江戸時代を頂点に下関市や山陽小野田市に多くの硯師が現れ、盛んに生産されたが、生活の近代化で制作者は激減した。2002年に県指定無形文化財に指定されている。

日枝さんは、赤間硯の制作・販売をしていた父(二代玉峯)の長男として生まれ、20歳から原石を採取。26歳の時、父親が急逝し、その後は、試行錯誤を重ね、独学で制作技法を体得した。採石は坑内掘り。斜坑で水がたまるため、昔は山肌近くしか採れなかったが、今はポンプを活用して掘り進められる。先人たちが残した現代の石は「墨をおろす役割を果たす石英などが緻密に混ざり、硬さもちょうど細工しやすい石」と絶賛する。

硯師となって半世紀、利用者の声を励みにひたすら腕を磨いてきた。「保持者と認められるのは光栄。もっと頑張って、新しい技術も取り入れたい」と抱負。「赤間硯の伝統を絶やさぬよう、石を採るところから技術をしっかり伝えておきたい」と、長男の陽一さん(45)ら後継者の育成に心血を注ぐ。

カテゴリー:教育・文化,地域2018年8月10日

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