戦争体験を2冊のスケッチブックに

宇部市大小路1丁目の和田祥義さん(85)が、第2次世界大戦中と終戦直後の体験を2冊のスケッチブックにまとめた。日記や写真などの資料は残っておらず、自身の記憶を頼りにペンと水彩で描いている。10代の少年が目で見て肌で感じた戦争の貴重な記録だ。

市内の絵画教室で同年代の仲間と戦時中の思い出を語り合ったことをきっかけに、2年ほど前から覚えていることを絵にし始めた。絵で説明しきれない部分は、文章で補足。ページを増すごとに、「戦争を知らない孫たちの世代のために」とも思うようになった。
生まれは静岡県伊豆市。1943年、14歳で中国・大連市に渡った。南満州鉄道の養成所で教育と戦争に備える訓練を受け、卒業後はハルビン市の造船所や鉄工所に勤務。スケッチブックには、厳しかった訓練の様子など中国で過ごした約3年半の出来事がびっしりと記されている。
未成年だったため戦地に立つことはなかったが、間近で飛行機による交戦を目撃することもあった。「当時のことは脳にたたき付けられたように焼き付いている。忘れることはできない」とつぶやく。おおよその日付や時間、住んでいた建物の間取りまで細かく記している。
中でも強烈に印象に残っているのが、約30~40㌔にも及ぶ道のりを炎天下20人一組で走る訓練。水を飲むことも休憩も許されなかった。砂ぼこりが巻き上がる舗装されていない道で、顔をゆがめて走る人たちが、臨場感あふれるタッチで描かれている。
引き上げ命令が出たのは46年。実家に帰り着いたのは、父親が亡くなってちょうど1年後だった。兄弟たちもまだ幼く、終戦を迎えても無力感と脱力感に襲われた。戦争はむなしさだけを残し、全てを奪い去っていく。最後のページには「戦争反対を一番叫びたいのは、実際に戦禍をくぐり、生き延びた人たちであろう」とつづっている。

カテゴリー:地域2014年8月9日

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