山大大学院研究グループが「ロボット細胞培養システム」開発

重い肝臓病の患者に、培養して増やした本人の骨髄細胞を投与して肝臓組織を再生させる治療を世界で初めて開発した山口大大学院医学系研究科の坂井田功科長らの研究グループは、培養を自動化する「ロボット細胞培養システム」を開発した。局所麻酔で採取した少量の骨髄液から均一で高品質の幹細胞を大量に作ることができる。肝硬変の最も進行した患者にも実施でき、世界に2000万人いるとされる重い肝臓病患者の治療の世界標準になる可能性がある。

坂井田科長は、患者から取り出した骨髄幹細胞を再び点滴で体内に戻すとその一部が自然に患部に集まり、新たな肝臓細胞になることを発見。肝硬変に進んだ肝臓が回復することを実証した。しかし、全身麻酔で骨髄液を400㍉㍑採取する必要があり、全身麻酔が困難な最も進行した肝硬変の患者には実施できなかった。

そこで局部麻酔で30㍉㍑採取して、培養増殖させる方法を開発。しかし、厳格に密閉した無菌環境のクリーンルームで保護服を着て手動で行う作業は、作業者の負担が大きくコストが掛かる上、作業者の熟達度によって品質にばらつきがあった。

坂井田科長らは、渋谷工業(石川県金沢市)と共同で細胞培養の自動化システムを開発。無菌に保たれた機械内部で、一連の人間の手の動きを忠実に再現するロボットを作った。同じ動きを繰り返しアームが行い、均一で高品質の細胞を大量に作れる。

13日、宇部市メディカルクリエイティブセンター内に設置されたロボット培養システムが披露された。坂井田科長は「多くの重い肝臓病患者の治療ができる。iPS細胞や他の疾患の細胞治療にも応用でき、限りなく応用が広がっていく」と話した。

この後、ANAクラウンプラザホテル宇部で馳浩・文部科学大臣らが出席して報告会があった。馳大臣は「さらに成果を出し、山口大が知の拠点としてはばたけるよう、施設、設備、人の面で国として力強く支援したい」と述べた。

同大は、再生医療を担う高度な人材育成を行う「臨床培養士」養成課程を大学院医学系研究科に設置する方針も示した。

カテゴリー:地域2015年12月14日

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