「はやぶさ」にも使われた宇部興産の熱制御フィルム

金色の部分が宇部興産の宇宙用熱制御材料で作ったサーマルブランケット(JAXA提供) 2003年に打ち上げられ、6月に地球へ帰還した小惑星探査機「はやぶさ」。温度変化が激しい宇宙環境で、探査機を守る役割を果たしたのは、宇部興産(竹下道夫社長)が開発した宇宙用熱制御フィルムだ。

このフィルムは、ポリイミドフィルムにアルミなどを蒸着。何層にも積層し縫製したサーマルブランケットを機体を覆うように取り付けて、内部の温度を一定に維持する。電子機器などを守り、探査機の正常な運用に貢献した。
競合製品に比べて、同社の断熱材は宇宙での耐環境性に優れており、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が打ち上げた多くの人工衛星に採用されるなど、高い評価を得ている。
同社では、今年度からの中期経営計画で航空宇宙材料事業を育成事業に位置づけ。既に実績がある同フィルムに加え、発泡ポリイミド、耐熱コンポジット材料、チラノ繊維などの先端材料の早期育成・事業拡大を目指しており、将来的に大きな飛躍が期待されている。
実績がある同フィルムに続き、徐々に芽が出始めているのが発泡ポリイミド。従来の発泡体に比べて、耐熱・耐火性に優れ、有毒ガスが出ないという特徴を持つ。ダクトなどの断熱、保温材として有効で、東京、中国など四電力会社の原子力発電所のほか、護衛艦などに採用され、出荷が伸びてきている。同社では2013年に本格的な設備を稼働させ、量産していく計画だ。
ポリイミドを複合材料のマトリックス樹脂として使った耐熱コンポジット材料と炭化珪素系セラミックス繊維のチラノ繊維は、早期の商品化に向けて、共同開発や実用化試験を進めている。
飛行機のエンジン周りや内部の部材としての用途が見込まれ、材料が導入されれば、機体の軽量化による燃料コストの削減、二酸化炭素排出量の減少といったメリットがある。
同社機能品・ファインカンパニーの安村守人航空宇宙材料開発室長は「会社に貢献できるよう、しっかりと結果を出したいと考えている。発泡ポリイミドで、まずは足固めをして、現在約10億円の航空宇宙材料事業の売上高を、10年後には約500億円まで伸ばすのが目標」と語った。
(By the Ubenippo Wire Staff)

カテゴリー:経済2010年8月26日

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