だるまや食堂、60年の歴史にのれん下ろす

宇部市中央町2丁目に店を構えて60年余り。闇市の時代から炭都の盛衰を見守ってきた「だるまや食堂」が閉店することになった。昭和の雰囲気が漂う狭い店内、うどんやすしなどの定番メニュー、人情たっぷりのもてなしで、多くのファンを魅了した同店。10月20日、隣接店からの出火により全焼し、突然の休業を余儀なくされた。常連客からは再開を望む声も強かったが、高齢や後継者の事情があり、12月をもって店を正式に閉めることを決めた。
車道に面した軒続きの一角で、ドアもない店構え。いなりや巻き物などすし類やおはぎが並ぶショーケースの横で、客を迎え入れるのが同店の〝看板おばあちゃん〟山根みよ子さん(90)。外地から引き揚げた両親と共に店を開き、昭和40年代(1965~74年)から本格的に切り盛り。午前7時から時には日付が変わるまで、炭鉱マンたちを迎え入れた。日本舞踊の名取で、夏場を除いては着物にかっぽう着。母親の姿と重ねてか、身の上話を持ち掛けられることも多く、商売そっちのけで世話を焼いた。
開業時15円だった「かやくうどん」をはじめ、甘辛味が癖になる「肉うどん」など、庶民の味をかたくなに守り続けた。定員22人の店内は、膝を突き合わせるようにテーブルが並び、相席は当たり前。みよ子さんは「宇部中央銀天街のアーケードができた昭和30年代(55~64年)は特ににぎわい、順番待ちの行列ができた」と振り返る。
宇部出身の庵野秀明監督が銀天街を舞台に映画「式日」を撮影した際には、同監督や出演した藤谷文子さん、岩井俊二さんらも来店した。店を継いだ娘の敏江さん(64)は「サンダル履きで気軽に入れる店。お客さんから『実家に帰ってきたよう』と言われるのが一番の褒め言葉だった。皆さんに支えられて元気をもらい、頑張ってこられた」と感謝。「条件が整えば、将来また再開したい」と胸の内を語った。  (松原)

カテゴリー:経済2013年12月14日

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