宇部出身の堀さん受賞、サントリー学芸賞 芸術・文学部門

サントリー文化財団は第34回サントリー学芸賞を発表。宇部市出身の国際日本文化研究センター・研究部・機関研究員、堀まどかさん(38)=京都市西京区=の著書「『二重国籍』詩人 野口米次郎」(名古屋大学出版会)が芸術・文学部門で受賞した。賞金は200万円。表彰式は12月11日、東京都千代田区の東京会館で開かれる。

政治・経済、芸術・文学、社会・風俗、思想・歴史の4部門で8人が受賞した。
堀まどかさんは、広島市立大教授で画家の堀研さん(笹山町1丁目)の長女。宇部高から日本女子大を経て同大学院を修了。宇部西ロータリークラブの推薦で1年間留学した英ロンドン大に、豊富に所蔵されていた野口米次郎(1877~1947)の文献を活用した。
堀さんがテーマにした野口は、渡米して英詩を学び、米英で英詩集を刊行して脚光を浴び、ヨネ・ノグチの名で知られた。帰国後、慶応大で教壇に立つ傍ら詩や美術評論などで活躍。詩集に「二重国籍者の詩」「表象抒情詩」などがある。
「『二重国籍』詩人 野口米次郎」は、「出発期~様々な〈東と西〉、混沌からの出現」「東西詩学の探究と融合~〈象徴主義〉という名のパンドラの箱」「〈二重国籍〉性をめぐって~境界者としての立場と祖国日本への忠誠」の3部構成。詩人として東西の文化翻訳を試み、戦争協力ゆえに文学史から消された野口の生涯・思想・作品を、伝記物として初めて総体的に明らかにした。A5判、上製、592㌻。定価8820円。
サントリー文化財団によると、堀さんの著書に対する評では「驚異的なのは野口が詩人としての名声を手にした後に世界に紹介した日本の文化の幅の広さで、芭蕉を中心とする江戸文芸、浮世絵などの美術、そして能・狂言と多岐にわたる」と紹介している。
堀さんは「野口米次郎が今こそ再評価に値すると公認された記念賞にも思える。野口の背負ったような境界性と困難は、国家という薄いオブラートの下にグローバル化が進む現代社会の中、個々人の内面の中にさまざまな形で存在している。受賞はまだ早いと思うが、この本を読んで、若い人が人間一人一人が生きていくことの重さ、学問の躍動を感じてくれるなら、何よりの喜び」と話した。

カテゴリー:教育・文化2012年11月22日

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