馬場良治さん国宝の彩色画を復元

作業する馬場さん(厚東棚井のアトリエで、馬場さん提供) 宇部市厚東棚井の日本画家で、文化財調査・復元の専門家、馬場良治さん(62)が、下関市の国宝、住吉神社本殿の板戸に16世紀後半に描かれた彩色画4組を復元した。長年の風雨で色落ちしていた四季の花鳥風月が、当時の優雅な姿でよみがえった。2月16日から下関市立美術館で、元絵とともに公開する。

同神社本殿は、山口開府の祖、大内弘世が1370年に創建。室町時代初期を代表する流造(ながれづくり)で、住吉大神や応神天皇などを祭る5連の玉殿と、それらを連結する四つの「相の間」からなる。
馬場さんが手掛けた彩色画は、「相の間」の外側正面の板戸絵。縦160㌢、横115㌢の8枚が四季で組になっている。記された墨書から1577年に描かれたとされる。
復元は、檜皮(ひわだ)ぶきの屋根のふき替えと共に文化庁の事業として実施。2009年10月に着手し、10年末に完成した。
作業は、顔料が落ちないよう元絵にはく落止めを施した後、原板をアトリエに移した。県産業技術センターの協力を得て画像診断し、顔料や輪郭線、色の重ね方を特定した。原板と同じスギの一枚板に復元した。
春の組ではサクラ、夏はヤナギとサギ、秋はモミジとウサギ、タカ、冬は雪山とウが描かれている。馬場さんによると、雪舟の流れをくむ雲谷(うんこく)派の一流絵師の作で、大内氏の文化芸術への造詣の深さがうかがえる。
鮮やかなえんじ色は、メキシコ産のサボテンに付く寄生虫「コチニール」、緑や青は、長登銅山の銅、白は山口市阿知須海岸のカキの殻を砕いた胡粉(ごふん)が使われていることが判明。顔料から当時の交易や経済が見えるという。
さらに額縁のように板絵を囲む縁には、小さな円が連なる連珠文の意匠が施されている。同文様は、仏教様式。神仏集合の当時の宗教観も示している。
馬場さんは「原物と複製を並べて展示するのは極めて珍しい。文化財の持つ力と保護への関心を高めてもらえれば」と話した。
特別展は、3月4日まで。時間は午前9時半から午後5時。月曜休館。入場無料。2月16日正午と26日午後2時からの説明会では、今回の作業で判明した新事実を馬場さんが解き明かす。

カテゴリー:教育・文化2012年1月25日

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