水力発電の増強に道、土壌の保水力高め流量確保

 山口大大学院理工学研究科の羽田野袈裟義教授の研究グループは、水力発電所の上流域の土壌の保水量を高めることで、発電量を増強する方法を考案した。東日本大震災による福島第1原発事故を機に自然エネルギーへ注目が集まる中、二酸化炭素(CO2)を出さない水力発電の改良に期待がかかる。9月の土木学会全国大会で発表する。

水力発電は、高い所から低い所に流れ落ちる水の運動により、発電機と連結した水車を回し、電気を発生させる。2010年現在、水力発電の全発電量に占める割合は約8%。発電の際に、CO2が出ないことが最大の利点だが、流域に降った雨水の大半は、川から海に一気に流出し、利用される量はごくわずか。このため渇水時には水量が不足し、安定的な発電が難しい。
大規模なダムや発電所の新規建設は、環境保全や費用の面から実現性が低く、既存の施設の効率的な活用が求められている。
地中に水が浸透するには、土壌中の空気が地表に出ていくことが必要。土粒子間の空気と水がうまく入れ替わると、たっぷりと水を含んだ状態になる。しかし、降雨による上方からの浸透では、この交換が起こりにくく、浸透は地表近くの30~40㌢程度にとどまることが多い。
羽田野教授は、川岸の、洪水時と渇水時の水位の中間の位置に、直径0・5㍉程度の無数の穴を空けた樹脂製のパイプを埋め込むことで、スポンジが水を含むように効率的に土壌に水をためておく方法を考案。
豪雨で水位が上昇した際、パイプ開口部から水が流入。穴から土壌へと水が少しずつ染み出ていく。この時、地中の空気が押し上げられ、地表から抜け出る。
流域の地形によりパイプの直径は30㌢~1㍍、長さは数十㍍~数㌔。パイプを数十㍍~数㌔間隔で埋設することで流域の土壌を浸潤な状態に保てるという。土壌中にたまった水は、川の水位が地下水の水位より下がると土手の表面から染み出て川に戻る。渇水時にも一定の流量が見込め、安定した発電が実現できる。また、洪水時の水位上昇を抑えて氾濫を防ぎ、治水の面からも利点がある。
羽田野教授は「地中貯留が今の5倍になれば、水力発電の占める割合を40%程度にまで高めることが期待できる」と話す。

カテゴリー:教育・文化2011年4月28日

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