赤田山大教授ら研究グループ、バイオエタノール量産化へ

実験装置と赤田教授(山大工学部で) 山口大大学院医学系研究科の赤田倫治教授らの研究グループは、化石燃料に代わるエネルギーとして期待を集めるバイオエタノールを、低コストで大量生産できる技術を開発した。高温で複数回、発酵し、高濃度のエタノールを抽出できる耐熱性の酵母を使用。冷却設備や厳密な温度管理が不要で、発酵の失敗による損失が減らせる。電力供給が不安定な新興国での生産に最適だ。九月から大手酒造メーカーなどとこの技術を使ったプラント試験をタイで開始した。

二酸化炭素を吸収する植物由来のバイオエタノールは、石油の補完燃料として注目が集まっているが、生産コストが高いのが課題。製造は酵母菌を使ったアルコール発酵。サトウキビの搾りかすの廃糖みつの糖を発酵させてできるエタノールを精製して作る。しかし発酵時の熱が酵母の活性を落とすため、生産現場では約三十二度まで冷やさなければならなかった。
赤田教授らが有能性を明らかにしたタイ原産の「マーキシアヌス」酵母は、優れた耐熱性が特徴。四十度で二十四時間置きに何度でも発酵を起こし、8%を超える高濃度のエタノールが採取された。一方、従来酵母は四十度では発酵回数は一回だけで6%の濃度だった。
年三万㌔㍑のバイオ燃料を生産するプラントを想定した場合、冷却設備の初期投資約五千万円が不要になるほか、冷却用の電気代が年間約千三百万円節約できる。
さらに従来酵母は発酵時、厳密な温度管理が必要。わずかな温度上昇で発酵が停止することがあり、プラントの稼働率は八割程度。原材料や発酵に導くまでの時間のロスを換算すると、同規模プラントで年間三億円にもなる。耐熱性酵母は四十五度でも活発に働く。稼働率を九割にまで高められ、損失が一億五千万円回避できるという。
耐熱性酵母を使った同技術は、コスト削減と地球温暖化に大きく貢献することから食品や化学メーカーが注目。サッポロビールと磐田化学工業が九月からタイで量産化に向けた試験製造を開始し、順調に稼働しているという。
赤田教授は「シンプルな装置で過酷な環境下でも発酵ができるのが強み。製造コストの安い新興国で量産し、日本が逆輸入する方法でバイオ燃料を普及させていければ」と話した。

カテゴリー:教育・文化,経済2010年11月30日

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