無重力での燃焼実験に世界で初めて成功 山大大学院

山口大大学院創成科学研究科の三上真人教授(燃焼工学)が代表を務める研究グループは、宇宙航空研究開発機構(JAXA)と共同で、国際宇宙ステーション(ISS)の日本実験棟「きぼう」で無重力状況下での燃焼実験に世界で初めて成功した。ジェットエンジンなどで使われる液体燃料の噴霧燃焼のメカニズムを解明し、高効率で環境に優しいエンジンの開発につながる可能性がある。
実験は「液滴群燃焼実験」。自動車や飛行機、工業用の重油バーナーなどのエンジンは、先端を細くした管の先から液体燃料を霧状に噴射し、微粒化した液滴を次々に燃やす群燃焼で熱エネルギーに変えて動かす。しかし、燃え広がりのメカニズムは解明されていない。そのため設計段階でのシミュレーションが難しく、開発段階で試行錯誤しながら調整しているのが実情。コストと時間がかかるのが課題だ。
燃焼実験を地上で行うと、観察できるよう大型化した滴が重力の影響を受けるため、高温の火炎と空気との温度差により上方向への対流が起こる。このため燃焼現象そのものを観察できず、無重力を模した落下装置を使って行ってきた。しかし、実験時間が0・9秒と極めて短い上、滴も直径0・5㍉、数も4個にとどまっており、群燃焼は再現できていない。
今回の実験では、滴を、実際の滴の100倍に当たる直径1㍉にまで大型化。これを格子状の特殊な網の交点に無秩序に97個配置。燃焼はこれら全てで起こった。実際の群燃焼のモデルを作り、滴同士が影響し合いながら燃え広がる過程を高速度カメラで撮影するのに成功した。
実験装置は、昨年9月下旬、大西卓哉宇宙飛行士が組み立てた。その後、三上教授らが筑波宇宙センターで遠隔操作で実験。三上教授は「2009年に『きぼう』での実験に採択されて以来、燃焼という極めて危険な実験をISSで安全に行う装置の開発に心血を注いできた。今後は地上での小数液滴間での燃焼と宇宙での群燃焼を理論的に結び付け、噴霧燃焼の発生メカニズムを解明したい」と述べた。

写真は宇宙での群燃焼の様子(JAXA提供)

カテゴリー:教育・文化2017年4月1日

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