水産大学校などがカイガラアマノリの陸上養殖法開発

 環境省のレッドデータブックで絶滅危惧まき種に指定されているカイガラアマノリ。この〝幻のノリ〟を陸上養殖する新たな技術を、水産大学校、県水産研究センターなどで構成する研究グループが開発した。厚東川の干潟など従来の河口での養殖では、5カ月間のシーズンで最大3回しか収穫できないが、陸上養殖では最大で14回の収穫が可能。小売価格で10㌘1200円の高値が付く商品だけに、事業化に大きな期待がかかる。
 技術開発は、農林水産省の農林水産業食品産業科学技術研究推進事業に採択された2015年にスタート。県産業技術センターがコーディネーターとなり、水産大学校、県水産研究センター、山口大農学部、同大工学部、新光産業で研究チームを結成。代表研究者は水産大学校の村瀬昇教授。農水工の連携により、ハード、ソフト両面から開発を進めたのが大きな特徴だ。
 水産大学校ではカイガラアマノリの生育特性を解明。種苗となる糸状体の球形細胞一つから葉一枚しかできないという特性から、まずフラスコで球形細胞を発芽させて葉となる幼葉状体まで育てた後、500㍑の大型水槽に移し、25㌢程度まで成長させて収穫するという2工程の養殖法を開発。成長に最適な光量、二酸化炭素量などの研究も進めた。
 農学部は陸上作物のビニールハウス技術などを応用し、生産に適する水温(15~20度)、光量などを制御する生産環境制御システムを開発。工学部と新光産業は、ノリの生育に必要な二酸化炭素を海水に溶かし込む装置の開発・製作に取り組んだ。
 確立した陸上養殖法を山口市秋穂二島の県水産研究センター内海研究部で実践。同センター専門研究員の鹿野陽介さんによると、現時点で、フラスコで育てた幼葉状体を大型水槽に移してから収穫までの日数が4週間。現時点での最大収穫量は500㍑水槽1基で3㌔という。
 陸上養殖のメリットは、自然環境の変化に影響を受けないため安定生産が可能で、混じり物が少なくなること。普通のノリと比べ、甘み成分のアラニン、うま味成分のグルタミンが倍以上含まれるカイガラアマノリ特有の味は再現できており、村瀬教授も「自然環境での養殖ものと遜色ない」と話す。
 事業化に向けた今後の課題は、収穫量増加、高品質化という生産性と採算性。事業をコーディネートした県産技センターの三宅雄二さんは「生産量があと2割ほど増えれば事業化にも手が届く。また工場の敷地内の排熱や排二酸化炭素が利用できれば、企業での取り組みも可能になると思う。ノリ加工業者も注目しており、カイガラアマノリ唯一の養殖県である山口の特産品となるよう事業化にこぎつけたい」と語った。

カテゴリー:教育・文化2018年3月8日

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