宇部市社協が避難所に手話派遣の新制度
宇部市社会福祉協議会(有田信二郎会長)は、災害発生時に市内に開設される避難所への手話ボランティア派遣制度を導入する。聴覚障害者の避難所での情報の取得や意思の伝達を支援する取り組みで、市社協が主催する手話奉仕員養成講座の修了者を対象に、登録者を募っている。
聴覚障害者は音声による放送や伝達事項といった情報をすぐに取得することが難しいため、被災状況の把握や救援物資の受け取りに時間差や不利益が生じ、避難所スタッフへの質問や体調不良を訴えることも困難な場合がある。
派遣制度では、聴覚障害者が希望した際に、市社協からの要請を受けた登録ボランティアが避難所に出向き、障害者に寄り添って情報収集や意思伝達を支援。市社協のコミュニケーション支援室が中心となって導入を進めている。
手始めに過去5年間の養成講座修了者に協力を呼び掛け、既に21人から了承を得ている。今後は登録者を対象に年1回の研修会を開催して災害や防災に関する事項について知識を深め、手話技術の向上も図っていきたいという。
同支援室の小林厚史室長は「障害者の不安な心に寄り添うボランティアとして、イベントでの手話通訳とは違い、長時間にわたる対応が必要。手話ができない障害者には口話や筆談、ジェスチャーでも対応していきたい」と話している。
3月13日には発足研修会を開催し、制度の概要説明、避難所での支援に役立つ手話実技の講習を行い、正式な登録を求める。また、市防災危機管理課の職員が近年の災害発生状況と特徴、市内の避難所の概要、開設の基準などを説明する。
「派遣制度の導入が各避難所で多様な障害者に対応できる態勢づくりの第一歩となれば」と小林室長。同支援室が拠点となって、市社協としてのノウハウも提供し、避難所での障害者支援の輪が広がっていくことを期待している。
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カテゴリー:アーカイブ2019年1月22日