ドクターヘリ、救命率向上へ機動力

へりグラフ

山口大医学部付属病院を基地とする救急医療専用のヘリコプター「ドクターヘリ」が、21日で運航開始から丸2年を迎えた。2年間の累計要請件数は、ちょうど500件。実際に出動したのは412件で、救命率の向上や後遺症の軽減に役立っている。今年度の出動件数は、20日現在で197件と、既に昨年度の年間実績を超えた。23日には東京都内で、中国地方5県と4基地病院が「ドクターヘリ広域連携に係る基本協定」を締結。県境をまたぐ相互利用や災害時の相互協力で、活躍の場が一段と広がりそうだ。

ドクターヘリには救急医療用の機器が装備されており、医師と看護師が現場に直行し、治療をしながら搬送する。最大の特長は、時速200㌔以上で巡航飛行できる機動力。消防本部や医療機関からの要請を受けて平均4分で離陸し、県内全域を30分以内でカバーする。公園や校庭など387カ所(昨年10月1日現在)の臨時ヘリポート(ランデブーポイント)で患者を収容し、同病院を含む5救命救急センターに搬送する仕組みだ。
出動形態は、この「現場出動」の他、入院中の患者を救命救急センターに転送する「病院間搬送」があり、山陽側にセンターが集中している県内では、山陰側からの「病院間搬送」要請が多い。
同病院のまとめによると、運航を開始した2011年1月21日以降、初年度の出動件数は21件、昨年度は194件で、今年度(以下、1月20日現在)は197件と伸びている。
月別では9月の29件が最多で、12月の25件、8月の24件と続く。時間外要請や天候不良、重複要請などによる「未出動」は39件あった。
出動件数の内訳は「現場出動」が86件。「病院間搬送」は101件で、長門市消防の26件、萩市消防の20件が目立つ。
運航当初は119番通報を受けて救急車が出動し、消防隊員が現場で必要と判断した場合に、消防本部を介してヘリを要請していた。しかし、救命率を高めるため▽意識がない▽胸や息が苦しい▽自動車やオートバイの事故▽3階以上からの転落-などのキーワードに該当する通報には、直ちにヘリ要請する方針に切り替えた。消防隊員が現場で患者を軽症だと判断し、ヘリ要請を取りやめた「途中キャンセル」は10件だった。
耕運機に足を巻き込まれ、痛みのため救出が難航したケースでは、ヘリで到着した医師が麻酔の処置をし、短時間で助け出すことに成功。マラソン中に心筋梗塞で倒れ、心肺停止状態になった患者が、一命を取り留めた事例もある。2時間近く心拍が戻らなかったが、心肺蘇生に当たった救護所の医師との連携や、フライトドクターの判断で経皮的心肺補助装置を準備し、病院到着後すぐに処置ができたおかげで、意識を回復するに至った。
最前線で活動する同病院先進救急医療センターの金田浩太郎副部長(40)は「要請件数は順調に増えてきたものの、まだまだドクターヘリによって救える命があるのではないか」と話す。
指令室を含む消防職員の意識を高め、ニーズを掘り起こすのが今後の課題だ。

カテゴリー:行政,その他の話題2013年1月23日

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