宇部地域に児童相談所設置を

 今年は子供が犠牲になる痛ましい虐待事件が、全国で相次いだ。近隣住民が泣き声などの異常に気付きながら、救えなかった命もあり、やるせない思いを募らせた人は多い。緊急時の一時保護や入所措置の判断は、児童相談所の権限だ。「虐待はどこでも起こり得る」のが共通認識となっている今、「宇部地域にも児童相談所の設置を」との声が高まっている。

 児童相談所(以下、児相)は児童問題の中枢的な専門機関。児童心理司や児童福祉司などの職員がおり、虐待に限らず、障害、非行、不登校などに関する相談対応と支援を行っている。県内では一九四八年に中央(山口市)、周南、下関が開設。五三年には萩、二〇〇六年には岩国にも設置され、現在は五児相体制になっている。
 地理的にはバランスの取れた配置だが、児童人口は中央児相が全県の四割を占め、相談件数も突出して多い。中央児相の管轄は宇部、山口、防府、山陽小野田、美祢の五市。昨年度の虐待相談対応件数は百三十五件で、県全体の半数に達した。
 管内の市が児相と共同で取り組んだのは五十六件。内訳は宇部が二十二件、山口が十四件、山陽小野田が十二件、防府が五件、美祢が三件だった。宇部市や市医師会(猪熊哲彦会長)では、宇部、山陽小野田、美祢地域への児相設置を要望。前段階として、担当児童福祉司の市内常駐を求めている。
 久保田后子市長は先月、二井関成県知事に県予算要望書を提出。この中で「児童相談内容の多様化・深刻化に伴い、子供の心理面の専門的判定や児童福祉施設などへの入所措置など、児相が担う専門的支援が強く求められている」と訴えた。
 市こども支援ネットワーク協議会会長で、県小児科医会理事でもある、とみた小児科医院(厚南西割)の冨田茂院長は「緊急を要する一時保護の場合、山口市の中央児相に職員派遣を依頼しているが、適切な対応が遅れることがある」と指摘。「瞬時の判断ができる権限を持った専門職が必要」と宇部健康福祉センターへの早急な児童福祉司の配置を望んでいる。
 児相増設の要望を受けた県では「検討課題の一つ」としながらも、西日本の中で児相が県内に五カ所あるのは多いとの認識を示し、「虐待相談は基本的に市町で受け、専門的な知識・技術を要する困難事例の場合だけ児相が対応」と、後方支援の役割を強調。専門職常駐の可能性も「現時点では全く分からない」としている。

カテゴリー:行政2010年12月9日

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