2011年2月10日

苦渋、ハクチョウ殺処分 宇部のシンボル消える

池からハクチョウを運び出す作業員(10日午前11時15分、常盤公園で) 宇部市の常盤公園で死亡したコクチョウから鳥インフルエンザウイルスが検出され、遺伝子検査の結果、強毒の高病原性であることが確認されたことを受けて、市は9日、常盤湖で放鳥飼育しているハクチョウ類358羽、カモ類41羽の殺処分を決め、県、県警からの応援を得て、作業を始めた。6日に野鳥から疑い事例が発生し、公園の入場制限や消毒、監視体制を強化した矢先だっただけに、市民はもちろん関係者のショックは計り知れない。まちのシンボルが今、姿を消そうとしている。

 9日午前10時ごろ、給餌のため、常盤湖南側の白鳥島にボートで着岸した職員が、コクチョウの死骸を発見。県中部家畜保健衛生所での簡易検査で陽性反応があり、遺伝子検査でH5亜型と判明した。
 

 残す方針探ったが
 市はときわ湖水ホール内に現地対策本部(本部長・西山一夫副市長、15人)を設置し、頻繁に打ち合わせを行い、情報収集などに追われた。結果が出たのは午後7時。ただちに最高レベルの防疫対策本部会議(本部長・久保田后子市長)を開き、今後の対応を協議した。「何とか残せないか」と方策を探ったが、専門的見地など、県からの助言を受け、苦渋の決断を下した。
 ペリカンは生活エリアが異なるため、目視で厳重に監視することにした。45羽中13羽が自由に空を飛べるため、順次、切羽処置を施す。しかし、衰弱死後、鳥インフルへの感染が分かった野鳥のキンクロハジロは、ペリカンのいる本池側で見つかっている。強毒性かどうかは確定検査を待っている段階だが、今後の健康状態が心配される。
 ハクチョウは家畜伝染病予防法に基づく処分対象から外れており、まん延防止のための措置は市の自主判断。
 

 今後の飼育慎重に
 久保田市長は「市民から広く愛されている貴重な財産をこのような形で失うことは誠に残念。鳥インフルエンザの拡散を防止するためにはやむを得ない処置であり、市民の皆さまにもご理解をお願いしたい」と沈痛な面持ちで語った。
 今後の飼育については「慎重に考えたい。鳥インフルは世界的に広がっている。実情を訴え、説明しながら、現在の在り方でいいのかをみんなで考えたい」と話した。
 市はホームページや防災メール、ソーシャルネットワークサービス「うべっちゃ」などを通じて情報を発信し、市民に理解を求めている。
 現地対策本部が置かれている公園整備局には複数の電話が寄せられ、市のホームページにも数件の意見があった。
 本部を直接訪れた男性は「ハクチョウは宇部市の財産。処分は耐えられない。もう少し様子を見ることはできなかったのか」と職員に詰め寄った。
 

 子供の心のケアも
 子供たちへの影響も大きいとして、市教育委員会は各学校や子ども会に情報を提供し、心のケアを指示。スーパーバイザー(臨床心理士)も要請があれば派遣する。
 市保育連盟(平川悦士会長)は「団体として特に動きはないが、公園に近い園は独自に対応されるかもしれない」と答えた。
 常盤公園の入場規制は1週間程度を見込んでいたが、さらに延長する。
 新たにときわレストハウスと駐車場も規制区域になった。春のイベントなどへの影響も懸念される。

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