宇部市厚南竹の小島のヒヌマトンボの楽園危機

全国でも有数のヒヌマイトトンボの繁殖地として知られている宇部市厚南竹の小島で昨年確認された個体数は200匹前後にとどまり、2年連続して大幅に減少していたことが、県の委託調査で明らかになった。代替生息地での減少も著しく、専門家らは「早急な対応が必要」と、トンボの楽園の危機を訴えている。

調査資料によると、昨年は7月3日から8月5日にかけて成虫を調査。発生前期(7月初旬、例年は6月)で221匹、発生盛期(7月中旬)で188匹を確認した。2007
年は発生前期で1384匹、発生盛期で2576匹が確認されていた。
代替地に限ると、昨年は一番多い時が197匹で前年の466匹から半減。03年の最多2972匹からは6年連続の減少で、15分の1程度になった。
代替地を除く主要な生息地は、さらに減少が顕著。発生盛期の比較で、04年の953匹から15匹へと60分の1程度になった個所もあった。
周辺は、中川基幹河川改修工事などに伴って、かねてから水位の低下や陸地化といった生息環境の悪化が指摘されてきたが、調査の具体的な数字が明らかになったのは初めて。
ヒヌマイトトンボの名は1971年に茨城県涸沼(ひぬま)で発見されたことに由来。成虫は5月下旬から9月下旬にかけて見られ、体長は28mm前後と小さい。絶滅危惧(きぐ)種に指定されている。
市内では95年に同所で発見。代替地は地域高規格道路・宇部湾岸線の整備と中川改修を踏まえて、第1期として2000年3月から01年3月にかけて約1365㎡を整備。第2期として01年2月から3月にかけて約1000㎡を造成し、幼虫の生息環境を創出するため、ヨシの堆積(たいせき)物などを補給した。
最初にヒヌマイトトンボを発見した日本トンボ学会員の原隆さんは「絶滅に近く、海水をうまく誘導し、ヨシの密生を保つなどの早急な対策が必要。周辺が自然の宝庫であることを尊重してもらえたら」と話している。
県は中川改修の第1期工事が完了する今夏をめどに、第3期として1020㎡の代替地を整備していく方針。県宇部土木建築事務所は「ヒヌマイトトンボの個体数の減少は認識している。調査結果をよく検証した上で、3期工事と合わせて、既存の代替地を改良するかどうかも検討することになるだろう」としている。

カテゴリー:環境2010年2月10日

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